yukari616また、会える日まで

25歳で亡くなった娘と共に歩んだ道

それでも生きていく

92歳のおじいさんと話をする機会に恵まれた。


おじいさんといっても、身なりはしっかりしていてとてもダンディだ。


チノパンに、ギンガムチェックのシャツを着ている。


どうやら、一人暮らしの様だ。奥さんに先立たれ、一人息子さんは東京にいるという。


ルーティンがあるようで、火曜日のランチは地元のカフェへ、金曜日のディナーは近くの定食屋さんに行くという。


しかも、誰かに連れて行ってもらうのではなく、自分の足で。


年齢に甘えるのではなく、きちんと生きている姿になんだか感動した。


私は、この人なら話してみようと思い、娘の事を話した。


じっと、聞いていてくれたが、亡くなったことを話したら、顔を上げぴくっとした。


そして、こうおっしゃった。


「それでも生きていかなければならない。」と。


92年の人生の中には、色んな人との別れがあっただろう。


とても、説得力のある言葉だと思った。


「それでも生きていく」


還暦を過ぎた自分は、もう、十分生きたし、娘の元へといつ行ってもいいと思っていた。


時には投げやりになり、自分の命を粗末にするようなことも考えた。


でも、90歳を過ぎて、きちんと生きている人を目の前にしたら、なんだか、自分が恥ずかしくなった。


命ある限り、きちんと生き、何があっても生きていく。


大切なことを教わった。