yukari616また、会える日まで

25歳で亡くなった娘と共に歩んだ道

天国があるなら

死んで帰って来た人はいない。


だから、死後の世界があるかどうかは死んでみないと分からない。


ただ、愛する人を亡くした人は、そう言う世界があってほしいと思う。


痛みも苦しみもない世界。気持ちのいい世界。


この世は、痛みも苦しみもある。気持ちのいいことばかりではない。


この世は修行、あの世は天国。


もし、天国があるなら、そこで、幸せにしてくれているなら、こちらで悲しんでばかりいては、天国の人は、悲しむと思う。


100%行く世界。そこで、再会できるのなら、あと少し、こちらで踏ん張ってみよう。


ただ、確信はない。だから、遺された者は、苦しむ。会いたいな…と。


無になってしまうのなら、それも、ありかな?この哀しみもいずれは終わりが来るのだから。


まあ、いつかは分かるね。一日一日を生きていくしかない。

旅立ちの季節

バレエの先生を始めて、今年で29年。


色んな人との出会い、別れを経験してきた。


ダンサーになった子、芸能人になった子、CAになった子、お母さんになった子。


みんな、それぞれの人生を歩き、頑張っているんだろうな。


うちのスタジオの卒業生は、頭のいい子が多く、国立大学、医大へ進んだ子もいる。


多感な10代に、娘の死を経験し、作文を読ませてもらったこともある。


みんな、大好きだった憧れの人の死は、大きなものだろう。


旅立ちの季節、娘を慕ってくれた多くの若者のこれからに、幸あれ、と、願わずにはいられない。

さくら

当たり前だが、今年も桜が咲く。


娘を見送って、3度目の春。


3年前、病院へ行くとき、車窓から見た桜。あの時も、綺麗に咲いていたな。


私たちを取り巻く景色は、昔から変わらない。そして、桜は毎年花を咲かせる。


人が一人いなくなっても、何も変わらないんだな。


相変わらず、国会での問題で世間は騒いでいるし、オリンピックもやっていた。


自分だけが3年前から、思考が停止している。


生かされているから生きている。こんな、抜け殻状態ではいけないな、と思う。


過去には戻れない…。分かっている。


前を向かなければ…。それも、分かっている。


でも、季節の移り変わりは、ときに、残酷だ。


娘と最後に見た桜と、その後の桜は何も変わらない。


変わらないことが、哀しみを深く大きくする。