命のバトン
病院に行くと、0歳から100歳近くの人々に出会う。
インフルエンザが流行っている。そのせいで、かかりつけの病院は混雑していた。
暇なので、色んな人を見ていた。
幼い子を抱え、あやしている若い人。年頃は娘くらいだろうか。
娘も生きていたら、こうして子供を産み、一生懸命に育てたのかな。
家庭を持つことを望んでいたのだから、多分そうしていたに違いない。
隣の席には、96歳になるおばあさんがいた。
風邪ではなく、肺炎の予防注射に来たそう。付き添いの娘さんが言っていた。
娘さんといっても、多分70歳くらいだろうとは思う。
親が子を育て、子は年老いた親を見る。そういう流れが普通なのだろう。
命のバトンは次世代へと受け継がれ、やがて、順番にこの世を去る。
子供を失った人々は、この流れを断ち切られてしまう。
だから苦しい。だから哀しい。この世の理不尽さに嘆き悲しむのだ。
娘へ受け継いだはずの命のバトンは、私の中で私が朽ちるまで持ち続けるのだろう。
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