yukari616また、会える日まで

25歳で亡くなった娘と共に歩んだ道

命のバトン

病院に行くと、0歳から100歳近くの人々に出会う。


インフルエンザが流行っている。そのせいで、かかりつけの病院は混雑していた。


暇なので、色んな人を見ていた。


幼い子を抱え、あやしている若い人。年頃は娘くらいだろうか。


娘も生きていたら、こうして子供を産み、一生懸命に育てたのかな。


家庭を持つことを望んでいたのだから、多分そうしていたに違いない。


隣の席には、96歳になるおばあさんがいた。


風邪ではなく、肺炎の予防注射に来たそう。付き添いの娘さんが言っていた。


娘さんといっても、多分70歳くらいだろうとは思う。


親が子を育て、子は年老いた親を見る。そういう流れが普通なのだろう。


命のバトンは次世代へと受け継がれ、やがて、順番にこの世を去る。


子供を失った人々は、この流れを断ち切られてしまう。


だから苦しい。だから哀しい。この世の理不尽さに嘆き悲しむのだ。


娘へ受け継いだはずの命のバトンは、私の中で私が朽ちるまで持ち続けるのだろう。