娘の言葉
時々、娘の部屋に入る。
ガランとした人気のない空間。虚しさがこみ上げる。
ふと、手に取った娘が書いた闘病記。
1回目の入院時のもので、まだ、書くことが出来ていた。
パラパラとめくる。
懐かしい癖のある字だ。
私は、信頼している人に娘の病状を明かした。それを娘に言ったときに書かれた物だ。
「母は、人を信用しすぎるところがあり、そこが欠点だ。自分の病気のことを話す人は自分で決めたい。病気が病気なだけに、興味本位で近づいてくる人もいる。あまり、広めないで欲しい。1番苦しいのは、自分だとも思いたくはないが…」
私も確かに苦しかったし、打ち明けた人も子供を病気で亡くしている。だから、話した。
でも、恥ずかしい。1番苦しかったのは娘だ。自分の心の弱さを痛感したし、反省した。
会って、あの時のことを謝りたい。
それすらも、もう、出来ない。
あちらの世界で再会したら、真っ先に言おう。
「あの時は、ごめんね。」
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